オルタナ改装からのオフグリッド生活日記

オフグリッドを目指す改築アイデアと、光熱費月3300円の暮らしをシェアしたい

大地再生の会〜風の草刈り・風の剪定〜

大地再生の会のワークショップを主催した。

大地の再生 結の杜づくり

ワークショップの参加費用は3,000円。主催者はその費用を大地再生へのギャランティーに当てることができる。フツーに考えると、ボランティアで手伝ってくれる人を誘う、または、ギャラを払って手伝ってくれる人を探す、という発想になるわけだが、全く違う。参加者はお金を払い、時間を作り、しかも汗水垂らして初めて、プライスレスな大地再生の会独自の哲学やノウハウを知ることができる。

開催するまでは、正直、お金もらってすみません、という気持ちもあった。でも蓋を開けて、実際に体験した今は、胸を張って、友達全員を誘いたいぐらいの気持ち。その全てが斬新すぎて、おもしろすぎて。

さて、3日連続ワークショップの初日(3日で完結する訳ではない)。

まずは、国土地地理院の等高線の入った地図を観察して、自分の土地の水がどこからきて、どこへ流れるのかを観察。家を建てている場所は切土、盛り土をして平らになっているものの、近くの山からの谷、尾根をみれば、地下水がどう流れているか、わかる。つまり、詰まっている湿気をどう逃せば良いのかがわかる。

地理院地図 / GSI Maps|国土地理院

まずは基本の(憧れの)草の草刈り。

鎌を片手で持って、踊るように草と戯れる。はたから見ていると、遊んでいるようにしか見えない。鎌を持っている手が、風。弱い握りで、右から左から風が吹くように鎌をふる。今までは聞きかじりで「根っこで草を刈らず、15cmぐらい残すのが、風の草刈り」だと思っていたら、全く違った。大切なのは草を残す長さではなく、風の強さ、鎌の風速。強い風になって刈れば、草は短くなるし、優しい風にすれば、先っぽの方しか刈れない。

まずは強い風で、U字溝を含めて、水が流れている筋を探して刈る。U字溝はコンクリート肌が裸になるまでどぶさらいをしない。U字溝は水の流れが早すぎて、土砂も運んでしまうので、少し刈り取った草を残して、流れを邪魔するくらいでちょうどいい。他の刈り取った草は、風がちぎるようにまばらに振りまく。ここで刈った草でひと山作ってしまうと、またそこが風の流れを遮ることになる。

もしも時間が取れないなら、水脈だけで、そのほかの場所は刈らなくても良い。どんなに広い山でも、水脈を草刈りするだけで、改善できるのだという。昔の人は、機械を使わず山を管理できていたのは、そういう手の抜き方を知っているから。

つい草刈りといえば、「えい!このやろう!」的な気持ちになるのだが、それもいけない。草に伝わってしまい「負けるもんか!」と、反逆にあってしまう。あくまで風のふりをして、ふふふーんと草刈りをするのもポイント。

イネ科の雑草は、根元で切られると、猛反撃に出る。成長スピードを速めて、もっと伸びようとして、背が高くなるらしい。クズも根元で切られると、そこら中にSOS信号を出すとか。植物パワー、恐るべし。

f:id:naomicka:20211014214749j:plain水は境界線関係なく流れていくものなので、隣の土地にもサクッとお邪魔。風になりきって。f:id:naomicka:20211014214740j:plain少し刈っただけでも、気持ちの良い空気が流れる。f:id:naomicka:20211014214731j:plain地面が改善できたら、次は腰までを風の剪定。同じように草刈り鎌を振って、膝あたりまでの木の枝を刈る。風のように、虫のように、やぎのように、柔らかい葉をむしる。それでも風が通らない、あまりに詰まっているところは、枝ごとごっそり剪定する時もある。ノコギリを入れる場所は、枝をたわませて曲がったところ。強風の日に折れる場所、台風で折れる場所、雪の日に根元から折れる場所と、状況を見つつ枝を残す長さを変える。

ぎゅうぎゅうにひしめき合っている垣根は、裏から枝を見極めて、ひと枝単位でノコギリでごっそり切り落とす。思い切って太い枝を切り落としてしまうのも手。細い枝が育つのには、また時間がかかるから、垣根の手入れの手間が時間稼ぎできる。

枝を抜いた瞬間に、サーっと風が抜ける、あの気持ちよさったら!調子に乗ってしまい、ついつい切りすぎて、穴を開けてしまった。もっと全体を感じつつ、あまり局地的に頑張らないようにしなくては。あくまで風だから。

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イノシシもやってくる畑を、草刈り機を使って、風の草刈り。

機械はエンジンの回転を調整できるものが理想。チップソーではなく、ナイロンコードを使う。草の先をなでるように水平に刈るのは、高刈り。風の草刈りは、どちらかというと機械は縦に回すイメージ。草の根元に風を通す感じで機械を動かすと、鮮やかにちぎれた草が舞い上がる。

f:id:naomicka:20211014214206j:plain最後は斜面地の湿布。乾燥した裸の斜面地は、水が勢いよく土を巻き込んで流れるので、簡単に土砂崩れを起こす。そこに、竹や枝を貼り付けて、雨の勢いを弱め、斜面地に草を生やすテクニック。

f:id:naomicka:20211014214653j:plainポイントは、竹を斜めに立てかけること(この竹は夏の間にコツコツ剪定したもの)。人間の仕業は、つい水平、垂直になりがちだが、自然界は常に斜めってことを忘れずに。クロスするように反対の向きにも重ねる。その竹に差し込むように、風の剪定で切った枝を差し込んでいく。まるで生け花のように。これが土になり、地面から草が生えてくる。約3年後に。早く雨よ降れ!早く草よ生えろ!

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総勢11名で朝3時間、午後4時間。一気にここまでできたのは、本当にすごい!大地再生の会のお二人、参加してくださった皆様、ありがとうございました!